現実的なおとぎの国
アルベロベッロ。
その街中に足を踏み入れると、異世界か、はたまた映画のセットに迷い込んだかと、奇妙な錯覚にとらわれる。灰色のとんがり帽子に真っ白な壁。トゥルッリと呼ばれるプーリア地方一帯で見られる独特な住居形態を目にして。
だが、それもあくまで一瞬の事。すぐに現実の生活に出会う。

―――洗濯物とか。みやげ物やとか(笑)

ちなみにアルベロベッロとは“美しい木”との意味らしい。でも、昔は森が広がっていたって事だけど、現在はまばらに小さな木が生えてるだけ。加えて、材木を使って作られた家も見当たらないので、謎な街である。

そもそも、なんでこんな家を作ったんだろう?
有力な説は“徴税逃れ”。
これは記録からも推察出来るそうで、当時の課税基準の隙を突いた策だったとか。考案された時代はスペイン統治下で、モルタル(漆喰)塗装のされた屋根のある家にのみ課税されていて、領主が領民に石を積み上げただけの家を作らせたのが始まりだという。
つまり、取り立てる役人が来たら屋根から石を降ろしてとぼけたってワケ。で、引き上げたら積み上げる・・・

―――これで騙される役人って(汗)

今となっては本当かどうか誰にも分らないが。
ただ、始まりがどうであれ観光的には興味深い。この街にはトゥルッリが密集する地区があり、東に『アイア・ピッコラ地区』と西に『モンティ地区』が広い道路を挟んで位置してる。
双方とも坂に沿って立ち並んでいるが、アイア・ピッコラ地区は生活感があり、あまり観光化されていない。洗濯物も普通に干してあるし。

一方のモンティ地区は、完全に観光化。
メインストリートがあって、そこから両脇にいくつも細い道があり、方々にお土産屋さん。住民も観光客慣れしていて、お決まりの日本語表記もある。
トゥルッリを改装したホテルもあった。ちなみに、このホテルのオーナーはツアーの現地ガイドだったり。サービスで室内も見せてもらったが、狭いけどベッドルームとバス(シャワー?)トイレ付き、そしてリビングルームが廊下もドアも無く直接隣り合ってる。円柱を幾つかくっつけて接合部分を出入り口を切り取った感じ。
面白いが、長くは住み難そうな気がする。

モンティ地区には“トゥルッリ作りの名人”と言われる職人さんが居て、彼は自分の家を小さなミュージアムとしていた。模型とかで作り方を紹介してる、らしい。現地ツアーの説明付きで前を通り掛かると、オジサンは愛想よく家の前に出てきてウェルカムな様子だった。確か、家の壁に貼っていたポスターには入場時間も書いてあった気がする。
が、しかし。
フリータイムでいそいそと向かうと・・・閉めてオジサンいないし。
私の他にも、三組ほどボーゼンと立ち尽くしていました。仕方ないので、メインストリートに戻り、ゆっくり坂を下っていくとオジサン発見。屋根に上って仕事しておりました。確かに、こっちが本職だろうケド。運が良ければ見れるかも、と思ってないといけません、きっと。

今回の旅で、特に楽しみにしていたアルベロベッロ。
思った以上に観光化が進んでいて、正直驚いた。どちらの地区も坂がキツくて、似たような家が並んでいるが、雰囲気は大分違うかも。観光にはアイア・ピッコラ地区をさっと歩き回り、モンティ地区でお土産を買うのが一般的のようだ。だけど、写真を撮るのはアイア・ピッコラ地区の展望台からモンティ地区を撮るのが密集した様を取れて良いだろう。それと、モンティ地区のメインストリートを下から見上げて。
どちらとも、メインストリートを下っていけば大きな道路に行き着けるので迷う事は無いと思う。

猫も一杯いたし、可愛いし、日本女性好みな街。
お土産屋さんが煩くて少々興を削がれるけど。それも、観光地の醍醐味。
ちなみに、ここはマカロニ等のパスタが有名。特に『オレキエッテ(小さな耳たぶ)』という1.5センチくらいの円形(丸めて手で平らに潰した)のが名物。
私もひとつずつ2種類のマカロニを購入。買ったのは、現地ガイドの友人の店で、5つ買うとひとつ分割引と言っていたけど・・・重いから止め。同じツアーのある奥様は5つ購入しようとしてご主人に止められてた(笑)
奥様の気持ちはよく分る。

それと、この店。
ワインの試飲もさせてくれたり。ただし、店のお子さんらしき少女に捕まると、“椀子そば”状態になるかも。同じツアーの女性(20代半ば)は次々に注がれ、言葉が通じない為にストップかけられず、律儀に飲みながら脱出の機会を狙っていたので。
彼女が買う意思があるのか、全く無頓着だった模様。

現地ガイドも、説明の合間にツアー参加していた大学生の子をナンパしてたし、名人は公開時間に家を留守にしてるし、土産物屋ではエンドレス酒注ぎ娘がいるし。風変わりな景色を楽しむのに加えて、やっぱり、我が道を行ってる国民性なんだと再認識してしまった。
アクセス
プーリア(PUGLIA)州バーリ(BARI)から、私鉄スッド・エスト線を利用して約1時間半。
アルベロベッロ駅から、町の中心歩ポロ広場まで徒歩10分。
<注>
私はツアーバスで観光したので駅の正確な情報は不明。本によって、ポポロ広場は駅前と徒歩10分の表記と両方あった。
雑記
トゥルッリ(Trulli)
プーリア州独特の住居形態。
平たい石を積み上げてから石灰で白く塗った壁の上に、平たい石を円錐形に高く積み上げて作った家。屋根は色を塗らなず、年月と共に灰色から黒味が強くなっていく。
部屋それぞれに屋根がひとつあり、それを幾つか接合させて家を作る。単体の部屋だけだトゥルッロでトゥルッリは複数形。
家の入り口は開け放って目隠しに簾をしてる家が多い。(多分、季節によっては違うかも)
部屋の区切りもカーテンで仕切ってるらしい。

キアンカレッレ(Chiancarelle)
トゥルッリの屋根に白く書かれている模様の総称。
ハートに矢が刺さったモノ・魚・鳥などの、いろんなモチーフがある。宗教的な意味を表すとか、まじない的な模様とも言われているが詳細は分っていない。
サン・アントニオ教会
モンティ地区にある教会。
坂を上りきった丘の上に立つ。屋根の形がトゥルッロと同じとんがり帽子。
確か、内部には入れなかった。写真も撮り忘れた・・・
お土産
購入したパスタ
ORECCHIETTE 
これが耳たぶパスタ。三色入りのものだけど、色ナシだけのもある。
奄eUSILLI
マカロニを割いて捻じった感じ。
このパスタは、宿泊ホテルで夕食に出たが美味しかった。

でも。
あんまり、品質管理は良くないかもしれない。
この店が一番整ってそうだったけど・・・
あくまでもお土産屋。
ローマ等の大きなマーケットで買ったほうが良いと思う。
重いしね。これは、各500g。
うっかり値引きに負けて5個買わないでよかった・・・
アイア・ピッコラ地区の裕福な家(大きなトゥルッリを所有)を見学(内部不可)した際に撮影

同じ大きなトゥルッリ見学時に。門越しに撮った。この家には庭もあり、トゥルッリ自体も大きいだけでなく綺麗な仕上がり。
アイア・ピッコラ地区の展望台より撮影。



アイア・ピッコラ地区の展望台より撮影。



道路を挟んでアイア・ピッコロ側からモンティ地区を撮影


モンティ地区のベストポイント。
屋根に白く書かれてるのがキアンカレッレ。



ンティ地区のメインストリート。
ココを下っていくと大きな通りにでて、対岸がアイア・ピッコラ地区。
両脇はお土産屋さんが一杯
ナンパな現地ガイド兼ホテルオーナーの所有するトゥルッリホテルの内部で、とんがり屋根を見上げた写真。

トゥルッリ職人(名人)の仕事風景。ホントは“個人ミュージアム”開館時間なんだけど。カメラを構えて身振りで示したら、愛想よく頷いてくれたので、許す(笑)
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