二つのフラメンコ |
フラメンコは日本でも何度か見に行っていたが、ぜひとも本場で見てみたかった。出来れば、あまり大きくないタブラオで。 以前、スペイン料理を食べながらフラメンコショーを見に行った時、たまたま相席になったオジ様方に聞いた様子が忘れられなくて。夜の閉店時間が過ぎても、ノッてしまったダンサー達は踊りをやめない。疲れ果てて熱が冷めるまで踊り続ける。 ―――本当のフラメンコはそれから始まる 今思えば、誇張してるのかもしれないけれど。いかにも、情熱的なスペインのイメージにぴったりと合う。その後暫くして、スペイン料理店などでショーを見たときも、ダンサー達はステージに上がる前から盛り上がっていた。控え室から聞こえるギター。声。手拍子。テンションを上げてから、彼らは現れた。 そして。 加えて、予定外のフラメンコを見る機会があった。 「この前のフラメンコショーとは別物ですからね!」と添乗員さん。 場所は、ジプシー地区の『サクロモンテ』。サクロモンテの丘では洞窟住居(横穴を掘って住んでるらしい)の中で、ジプシー達が家族単位でフラメンコショーを行っている。いくつもあるようだが、私達が行ったのは添乗員さんの顔馴染みのところのようだった。私は、ショーにも興味があったが、それよりも『アルハンブラの夜景』に惹かれて行く事にした。さすがの私でも、一人で夜で歩く雰囲気ではないので。 マイクロバスが迎えに来て、希望者だけ乗り込んだ。ツアー全体の半数いかない人数だった。ハードスケジュールで、殆どの人はもうグッタリのようで。あまり乗り心地の良くない乗り物で、会場となる洞窟へ到着。 添乗員さんの言葉、間違いではなかった。 確かに別物、である。張り切っているのは太ったおばさんだけで、おねーさん達は、ノリが悪い。三人くらい娘さん達が踊ったが、ただ歩いてるようなコもいたし。十歳くらいの少女は、割合上手かった。 太ったおばさんに誘われ、私達も踊った。お約束ではあるが、自分達で踊りだすって雰囲気じゃなかったなぁ。一緒に参加したフラメンコを習ってる人でさえ、なんか居心地悪そうだった。添乗員さんの話では、彼らはよく喧嘩してるそうだから、ご機嫌斜めな時にあたってしまったのでしょう。 何となく終わった、フラメンコ。 素晴らしい。その一言に尽きた。時間を忘れて、見入ってしまうほどに。これで、モヤモヤした気分が全て吹き飛んだ。 参加して、良かった。 |
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